モモンガが苦手だと言われるのは、
そう感じるだけの行動を、モモンガは実際にしているからです。
初めてちいかわに触れた人が「なんで人気なの?」と思うのは、当然だと思います。
そのうえで私が注目したいのは、カニちゃん(古本屋)との関係です。
先に結論を書きます。
カニちゃんは、欲しいものだけを追いかけてきたモモンガが、初めて手に入れた「失いたくない相手」なのだと思うんです。
そして、モモンガがこの先どんな結末を迎えるのか。
その鍵を握っているのも、カニちゃんとの関係だと考えています。
モモンガが「苦手」と言われる3つの理由
1.他人の事情が、行動の判断に入っていない
モモンガの行動は、いつも自分の欲しいものが起点です。
- 他人の食べ物を欲しがる
- かわいいと言われたがる
- 面倒なことからは楽をして逃げる
原作のセイレーン編では、島のお弁当を食べているときに、ちいかわへこう言い放ちます。
「その赤ウィンナーよこしなッ」
これがただのわがままと違うのは、悪いと思ってやっていない点です。
相手の事情が、そもそも判断材料に入っていません。
ここが、多くの読者のモヤモヤにつながっているのだと思います。
2.周りを振り回しても、反省や成長が描かれない
ふつうの物語なら、失敗したキャラクターには次の展開が用意されています。
謝る。後悔する。仲間を助けて挽回する。
そうやって、少しずつ人と合わせることを覚えていきます。
でも、モモンガにはそれがほとんどありません。
鎧さんにどれだけ叱られても、こたえた様子はありません。
怒られること自体が、モモンガの行動の抑止になっていないんです。
だから読者の気持ちは、行動そのものよりも変わらない態度のほうに引っかかります。
鎧さんとのやり取りは、こちらにまとめました。
3.かわいい姿だから
見た目は、ちいかわやハチワレと同じ「なんか小さくてかわいい」存在です。
だから読者は、無意識のうちにこう期待します。
仲間を大事にする。困っている人を助ける。迷惑をかけたら謝る。
ところが、モモンガの中身はまったくそこにありません。
期待とのズレが大きいぶん、自分本位な行動が余計に目立つんです!
モモンガが厳しく言われるのは、外見と中身のギャップのせいでもありそうです。
それでも人気なのは、欲望に一貫しているから
ここまで書いておいて何ですが、モモンガはめちゃくちゃ人気があるキャラです。
その理由は、色々な見方があります。
物語の都合で、急に良い子にならない
食べたい。褒められたい。かわいいと思われたい。楽をしたい。
モモンガはこの欲望に、ずっと忠実です。
初登場のときのセリフが、そのまま宣言になっています。
「ついにやったゾ!!」「おもいっきりかわいこぶってやる…」
いい場面が来たからといって、突然反省したふりもしません。
この徹底ぶりが、キャラクターとしての強さになっています。
初登場回はこちらです。
「かわいい」とは何かを揺さぶってくる
ちいかわやハチワレは、自然に振る舞った結果としてかわいく見えます。
ところが、モモンガは違うんですよね。
かわいい仕草を研究し、相手の反応をうかがい、自分から「かわいい」を要求します。
かわいさを、意識して演じているんです。
だからモモンガも演じながら自分自身で試しているのかもしれません。
かわいさは内面に宿るのか、それとも見た目と仕草だけで成立するのか。
物語に摩擦を起こす存在
全員が善良で協力的だったら、話は予定調和で終わります。
モモンガがいるだけで、仲間同士の価値観の違いが表に出ます。
予想外のもめごとが起き、ちいかわ世界の不穏さも際立つんです。
モモンガは好感度で愛されているのではなく、物語を動かす異物として支持されている。
私はそう考えています。
ただ、その異物にも、ひとつだけ揺らいでいる部分があります。
それが、カニちゃんとの関係です。
カニちゃんが、モモンガと一緒にいられる理由
モモンガの周りには、振り回されてきた人が何人もいました。
それなのに、古本屋のカニちゃんは、ずっと一緒にいるんです!
カニちゃんは、モモンガを理想化していない
まず大事なのは、カニちゃんがモモンガの自分本位なところを知らないわけではない点です。
食べ物をねだられ、思いつきの行動に振り回される。
ときには止め、ときには世話を焼く。そんな距離感で付き合っています。
カニちゃんは「本当は優しい子」だと勘違いしているわけではありません。
面倒な部分も込みで、そのまま付き合っている友人でありお世話役。
だからこの関係は、勘違いが解けたら終わる種類のものではないんです。
モモンガも、カニちゃんを拒んでいない
見落とされがちなのは、モモンガ側の態度のほうです。
一緒にごはんを食べる。一緒に出かける。そばにいることを許している。
そして、その関係がずっと続いています。
モモンガが「カニちゃんが大切だ」と言葉にする場面は、まずありません。
でも、考えてみてください。
自分の欲望に必要のない相手なら、これほど長く隣にいるでしょうか。
もちろん、反対の読み方もできます。
ごはんをくれて、そばにいてくれる。ただ都合がいいだけの相手だ、という見方です。
それでも、便利なだけの相手なら、ここまで長くは続いていない気がします。
モモンガは、いらなくなったものをそばに置いておくタイプではないと考えられます。
2人のエピソードは、こちらに時系列でまとめています。
カニちゃんは、モモンガを良い子にはしない
では、カニちゃんはモモンガを救えるのか。
期待している人には申し訳ないのですが、性格ごと入れ替えるような変化は起きにくいと思います。
少なくとも現時点で、こう言い切れる描写はありません。
- 他人を思いやるようになった
- 迷惑をかけなくなった
- 自分の行動を反省した
カニちゃんと出会ったあとも、モモンガの性格は基本的に変わっていません。
それでも私が「救う鍵」だと考えるのは、救いの中身が別にあると思うからです。
善人になること。ちいかわたちと同じ倫理観を持つこと。
モモンガにとっての救いは、たぶんそこではありません。
自分の欲望とは別に、失いたくない関係を持つこと。
これが、モモンガにまだ足りていないものです。
これまでのモモンガが執着してきたのは、食べ物やかわいさや快楽でした。
どれも、手に入れて自分のものにできるものばかりです。
けれどカニちゃんは、物ではなく関係です。
手に入れて終わりにできません!
この関係が深まるほど、モモンガは初めての経験をすることになります。
- 相手が離れていくかもしれないという不安
- 自分の行動しだいで関係が壊れるという実感
- 欲望を優先すると失うものがある、という発見
カニちゃんは、モモンガを説教して変える存在ではありません。
モモンガが自分から変わる理由を、初めて与える存在なのだと思います。
体が元に戻るとき、カニちゃんとの関係が試される
ここからは、原作で確定していない勝手な予想になります。
ここまでの流れからすると、モモンガとでかつよの体が入れ替わっているのは確定的です。
今のかわいい体は、もともとモモンガのものではなかったということです。
この説を前提にすると、カニちゃんとの関係には大きな試練が待っています。
入れ替わった体が、元に戻る展開です。
そのとき、こんな問いが出てきます。
- カニちゃんが親しくなったのは、中にいる人格のほうなのか
- 姿が変わっても、モモンガだと気づけるのか
ここが残酷なところです。
モモンガがいちばん執着してきたのは、まさにその「かわいい体」だからです。
体を失っても、カニちゃんとの関係が残るのなら。
モモンガは初めて、外見ではなく自分自身を受け入れてくれる相手を得ることになります。
逆に、そこで関係が終わってしまったら。
モモンガはやっと、自分が本当に欲しかったものに気づくのかもしれません。
モモンガの結末は、体が戻るかどうかでは決まりません。
カニちゃんとの関係が、そのあとも続くのかどうかで決まります。
入れ替わりの行方は、こちらの記事でも考えました。
まとめ|モモンガの結末を分けるのは、カニちゃんとの関係
- モモンガが苦手だと言われるのは誤解ではなく、自分本位な行動に理由がある
- 結末を分けるのは体が戻るかどうかではなく、カニちゃんとの関係が残るかどうか
そもそも、善良になることがモモンガにとっての救いなのかどうか。
そこは私にも、はっきりとはわかりません。
ただ、自分の欲望だけを追いかけてきたモモンガが、
いつか「この相手とは離れたくない」と思う日が来るのなら。
その相手は、きっとカニちゃんです。
モモンガを救う鍵は、反省でも罰でもなく、カニちゃんとの間に生まれた関係なのかもしれません。
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